寺院の號、さらぬ萬の物にも、名をつくる事、昔の人は、少しも求めず、たゞあ りのまゝに、やすく付けけるなり。此の比は、深く案じ、才覺をあらはさんとしたる やうにきこゆる、いとむつかし。人の名も、めなれぬ文字をつかんとする、益なき事 なり。
何事も、珍しき事を求め異説を好むは、淺才の人の必ずある事なりとぞ。