蕪翁句集 巻之上
几菫著 (Haikushu [volume 1]) | ||
延寶之句法
餅舊苔の[kabi ]を削れば風新柳のけづりかけ
關の戸の火鉢ちいさき餘寒哉
おそき日や谺聞ゆる京の隅
くれかぬる日や山鳥のおとしざし
遲き日や都の春を出てもどる
等閑に香たく春の夕かな
燭の火を燭にうつすや春の夕
日くれ/\春や昔のおもひ哉
癖のある馬おもしろし春の暮
うかぶ瀬に沓ならべけり春のくれ
大門のおもき扉や春のくれ
居風呂に棒の師匠や春のくれ
蛤にたゝれぬ鴫や春の暮
春のよやたらいを捨る町はづれ
春の夜や狐の誘ふ上童
ゆく春やおもたき琵琶の抱ごゝろ
寢佛をきざみ仕舞ば春くれぬ
春のくれ筑紫の人とわかれけり
ゆく春や眼に逢ぬめがねうしなひぬ
行春のいづち去けんかゝり舟
行春の尻べた拂ふ落花哉
ゆく春や歌も聞へず宇佐の宮
手燭して庭踏人や春おしむ
蕪翁句集 巻之上
几菫著 (Haikushu [volume 1]) | ||