University of Virginia Library

加茂の堤はむかし文祿のころ防河使に命ぜられて、あ らたにきづかれたり。さてこそ桃花水の愁もなくて庶民安堵のおもひをなせり

加茂堤太閤樣のすみれかな

我歸る道いく筋ぞ春の草

海苔掬ふ水の一重や宵の雨

草の戸や二見のわかめもらひけり

美角世を去て朞年猶聲有がごとし

うつほ木の春をあはれむ木魚哉