University of Virginia Library

柴の戸にあけくれかゝるしら雲をいつむらさきの雲に 見なさむ

法然の珠數もかゝるや松の藤

藤の花あやしき夫婦休けり

菜の花に僧の脚半の下りけり

菜の花にみな出仕舞ひぬ矢橋舟

なのはなや晝ひとしきり海の音

菜の花や油乏敷小家がち

なの花や法師が宿はとはで過し

菜の花や摩耶を下れば日のくるゝ

菜の花や和泉河内へ小商

古道にけふは見て置根芹哉