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冬の歌十首よみけるに
花もかれもみぢも散りぬ山里はさびしさをまたとふ人もがな
ひとりすむかた山陰の友なれやあらしに晴るゝふゆの夜の月
津の國の芦のまろ屋の淋しさは冬こそわきてとふべかりけれ
さゆる夜はよその空にぞをしも鳴くこほりにけりな昆陽の池水
よもすがら嵐の山にかぜさえて大井のよどにこほりをぞしく
さえわたるうら風いかにさむからむ千鳥むれゐるゆふ崎の浦
山里はしぐれし頃のさびしきにあられの音はやゝまさりけり
風さえてよすればやがてこほりつゝかへる波なき志賀の唐崎
吉野山ふもとにふらぬ雪ならば花かと見てやたづね入らまし
宿ごとにさびしからじとはげむべし煙こめたる小野の山ざと
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