University of Virginia Library

老をいたむ歌

行く水はせけばとまるを
高山はこぼてば岡と
なるものを過ぎし月日の
かへるとは文にも見えず
うつせみの人も語らず
古もかくしあるらし
今の世もかくぞありける
後の世もかくこそあらめ
かにかくにすべなきものは
老にぞありける
ねもごろのものにも有るか年月は賤が宿までとめて來にけり