万葉集 (Manyoshu) | ||
譬喩歌
3572
[題詞]譬喩歌
[原文]安杼毛敝可 阿自久麻<夜>末乃 由豆流波乃 布敷麻留等伎尓 可是布可受可母
[訓読]あど思へか阿自久麻山の弓絃葉のふふまる時に風吹かずかも
[仮名],あどもへか,あじくまやまの,ゆづるはの,ふふまるときに,かぜふかずかも
3573
[題詞]
[原文]安之比奇能 夜麻可都良加氣 麻之波尓母 衣我多奇可氣乎 於吉夜可良佐武
[訓読]あしひきの山かづらかげましばにも得がたきかげを置きや枯らさむ
[仮名],あしひきの,やまかづらかげ,ましばにも,えがたきかげを,おきやからさむ
3574
[題詞]
[原文]乎佐刀奈流 波奈多知波奈乎 比伎余治弖 乎良無登須礼杼 宇良和可美許曽
[訓読]小里なる花橘を引き攀ぢて折らむとすれどうら若みこそ
[仮名],をさとなる,はなたちばなを,ひきよぢて,をらむとすれど,うらわかみこそ
3575
[題詞]
[原文]美夜自呂乃 <須>可敝尓多弖流 可保我波奈 莫佐吉伊<R>曽祢 許米弖思努波武
[訓読]美夜自呂のすかへに立てるかほが花な咲き出でそねこめて偲はむ
[仮名],みやじろの,すかへにたてる,かほがはな,なさきいでそね,こめてしのはむ
3576
[題詞]
[原文]奈波之呂乃 <古>奈宜我波奈乎 伎奴尓須里 奈流留麻尓末仁 安是可加奈思家
[訓読]苗代の小水葱が花を衣に摺りなるるまにまにあぜか愛しけ
[仮名],なはしろの,こなぎがはなを,きぬにすり,なるるまにまに,あぜかかなしけ
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