群書類従卷第三百八
検校保己一集
物語部二
大和物語 上
群書類従卷第三百八 (Yamato monogatari) | ||
【二】
みかとおりゐ給ひて又のとしの秋御くしおろしたまひてところ/\山ふみしたまひてをこなひ給けり備前のせうにてたちはなのよしとしといひける人内におはしましける時殿上にさふらひて御くしおろし給けれはやかて御ともにかしらおろしてけり人にもしられ給はてありきたまひける御ともにこれなんをくれ奉らてさふらひけるかゝる御ありきし給ふいとあしき事なりとて内より少将中将これかれさふらへとてたてまつらせ給けれとたかひつゝありき給いつみの国にいたり給てひねといふところにおはします夜ありいとこゝろほそうかすかにておはしますことを思ひていとかなしかりけりさてひねといふことを歌によめと仰ことありけれはこのよしとし大とく
故郷のの旅ねの夢にみえつるは恨やすらん又とゝはねは
とありけるにみな人なきてえよますなりにけりその名をなん寛蓮大とくといひてのちまてさふらひける
群書類従卷第三百八
検校保己一集
物語部二
大和物語 上
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