群書類従卷第三百八
検校保己一集
物語部二
大和物語 上
群書類従卷第三百八 (Yamato monogatari) | ||
【百十九】
おなし女にみちのくにのかみにてしにし藤原のさねきかよみてをこせたりけるやまひいとおもくしてをこたりける比なりいかてたいめん給はらんとて
からくしておしみとめたる命もて逢ことをさへやまんとやする
といへりけれはおほいきみかへし
諸共にいさとはいはてしての山なとかは独こえんとはせし
といひたりけりさてきたりける夜もえあふましき事やありけむえあはさりけれはかへりにけりさてあしたに男のもとよりいひをこせたりける
暁はゆふつけ鳥のわひ声にをとらぬ音をそなきてかへりし
おほい君かへし
暁のねさめのみゝに聞しかと鳥よりほかの声はせさりき
群書類従卷第三百八
検校保己一集
物語部二
大和物語 上
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