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18. 續拾遺和歌集卷第十八
雜歌下
式乾門院御匣
懷舊の心を
從二位家隆
雅成親王
中務卿宗尊親王
信實朝臣
題志らず
源兼氏朝臣
法印源惠
平政村朝臣
藤原爲成
平義政
前大納言爲家
弘長元年百首の歌奉りける時、懷舊
前大納言伊平
おなじ心を
權大納言經任
皇太后宮大夫俊成
近衛院の御時御物忌にこもりて侍りける夜遣水に月のうつれるをみて思ひ出づる事おほくてよみ侍りける
信實朝臣
題志らず
素暹法師
侍從能清
前内大臣基
愁ひにしづみて後最勝金剛院の八講にまかりてあしたに前中納言定家のもとにつかはしける
前左兵衛督教定
中務卿宗尊親王の家の百首の歌に
大僧正道寳
夢を
花山院御製
藤原隆博朝臣
從三位光成
衣笠内大臣
題志らず
澄覺法親王
僧正聖兼
源親長
從二位顯氏
徃事如夢といふことを
藤原公世朝臣
黄鐘調の調子をひき侍りけるに思ひ出づる事ありてよみ侍りける
從二位能清
題志らず
前大納言爲家
鴨長明
皇太后宮大夫俊成女
前大僧正慈鎭
文集の逝者不重廻存者難久留といへる心を
前大納言光頼
長恨歌の心を
圓融院御製
御心地れいならずおはしましける時四條太皇太后宮に奉らせ給ひける
權大納言長家
法成寺入道前攝政かくれ侍りける又のとしの春上東門院より御せをそこありける御返事に
藻壁門院少將
信實朝臣身まかりて後春の比かの墓所にまかりたりけるに草のあをみわたりけるをみてよみ侍りける
なき人の植ゑ置きて侍りける梅の花の咲きたりけるを
讀人志らず
題志らず
權中納言俊忠
堀河院かくれさせ給ひてあまたの春をへだてゝ後花見侍りける女車より歌を送りて侍りける返事に
普光園入道前關白左大臣
九條左大臣身まかりて後花をみてよみ侍りける
權中納言國信
題志らず
後堀河院民部卿典侍
藻壁門院かくれさせ給ひて又の年の五月五日大納言通方、結びたる花を佛の御前にとて民部卿典侍がもとにつかはしたりけるをその由光明峯寺入道前攝政のもとに申しつかはすとて
光明峯寺入道前攝政左大臣
返し
大納言通方
此由を聞きて民部卿典侍につかはしける
前内大臣師
藤原忠季朝臣身まかりて後植ゑ置きて侍りける撫子をみて
九條前攝政右大臣
籠り居て侍りける頃光明峰寺入道前攝政の墓所にてよみ侍りける
近衞關白左大臣
秋の比人の身まかりけるをなげきてよみ侍りける
皇太后宮大夫俊成
諒闇の年の秋鳥羽殿に美福門院おはしましける比前栽に蘭のしをれてみえけるを折りて人につかはしける
法印定圓
光俊朝臣身まかりて後人のとぶらひて侍りける返事に
讀人志らず
題志らず
僧正實瑜
道助法親王かくれ侍りにける比經乘法師がもとより音づれて侍りける返事に
權中納言俊忠
堀河院かくれさせ給ひての秋、月あかき夜權中納言師時がもとにつかはしける
權中納言師時
返し
法成寺入道前攝政太政大臣
九月ばかりに四條太皇太后宮にまゐりあひて前大納言公任につかはしける
前大納言公任
返し
權大僧都定縁
秋の暮母身まかりけるによみ侍りける
右近大將通忠女
人のなき跡にて時雨をきゝてよみ侍りける
堀河院中宮上總
堀河院かくれさせ給ひて後五節に殿上人引きつれて皇后宮にまうでたりけるによみ侍りける
權中納言師時
返し
堀河
待賢門院かくれさせ給ひける御いみの程に八幡の行幸と聞えける日雪のふりけるにさき%\まゐる人もみえざりければ三條内大臣左衛門督に侍りける時だいばん所よりとてかのもとにつかはしける
前大納言爲家
九條左大臣かくれ侍りてほかにうつし侍りにける朝雪ふかく積りたりけるに右衛門督忠基のもとにつかはしける
右衛門督忠基
返し
藤原基隆
父基綱身まかりて後雪のふりける日かの墓所にてよめる
良心法師
雪の朝に父が墓所にまかるとてよめる
信實朝臣
從一位倫子身まかりにける年の暮に中原行範がもとにつかはしける
前大納言忠良
女の思ひにてよみ侍りける
權大納言長雅
ともなへりける女の身まかりにけるときよみ侍りける
藻壁門院少將
少將の内侍身まかりにける比よみ侍りける歌の中に
三條入道左大臣
世の中はかなく聞えける頃權大納言實國のもとにつかはしける
權大納言實國
返し
久我内大臣
美福門院の御ことの後皇太后宮大夫俊成にあひて日數の過ぐるも夢のやうなることなど申して又の日つかはしける
皇太后宮大夫俊成
返し
權僧正永縁
親の身まかりにけるをとはざりける人のおや又なくなりにければつかはしける
法印定圓
題志らず
禪空上人
後嵯峨院かくれさせ給ひて又の年の春御はてにあたりける日詠み侍りける
清輔朝臣
美福門院かくれさせ給ひける頃素服の人あまた參りあひたりけるをみて皇太后宮大夫俊成がもとにつかはしける
皇太后宮大夫俊成
返し
祝部成茂
父
最仲身まかりにける頃社のならひにて着服せぬことをなげきてよめる前大僧正慈鎭
題志らず
後堀河院民部卿典侍
藻壁門院かくれさせ給ひける頃人のとぶらひて侍りけるに
安嘉門院大貳
從三位爲繼身まかりにける頃人のもとよりいかばかりなる心のうちにかと申して侍りける返事に
常磐井入道前太政大臣
冷泉太政大臣身まかりにける後よみ侍りける
前中納言定家
八條院の御忌日に蓮花心院に參りて侍りけるに思ひ出づる事おほくておなじく參りあひたりける女房の中にさしおかせ侍りける
前大納言基良
なき人のふみを經のれうしになすとて
法印澄憲
公守朝臣母身まかりて後朝夕手なれける鏡に梵字をかきて供養し侍りける導師にまかりて又のあした後徳大寺左大臣のもとに申しつかはしける
法印覺源
父前中納言定家すみ侍りける家に年へて後歸りまうできて昔の事を思ひいでゝよみ侍りける
平親清女妹
父身まかりて後よめる
津守國助
仁助法親王三井寺にてかくれ侍るよし聞きていそぎかしこに行くとて相坂山にてよみける
蓮生法師
信生法師ともなひてあづまのかたにまかりけるにうつの山の木に歌を書き付けて侍りける後程なく身まかりにければ都にひとりのぼり侍るとてかの歌のかたはらにかきそへ侍りける
寂蓮法師
あづまのかたに侍りける頃同じ旅なりける人の都なる女の身まかりにけるを聞きて歎き侍りけるにつかはしける
讀人志らず
返し
和泉式部
彈正尹爲尊親王かくれて後つきせず思ひ歎きてよみ侍りける
同じ頃雨のいみじう降りける日いかにととぶらひて侍りける人の返事に
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