後撰和歌集 (Gosen wakashu [Book 1]) | ||
12. 後撰和歌集卷第十二
戀歌四
敏行朝臣
女のもとに遣はしける
讀人志らず
忘れにける女を思ひ出でゝつかはしける
枇杷左大臣
女につかはしける
紀友則
身よりあまれる人を思ひかけてつかはしける
返事も侍らざりければ又かさねて遣はしける
讀人志らず
あだにみえ侍りける男に
あひしりて侍る人の近江の方へまかりければ
かへし
平なかきが女
つらくなりにける男のもとに今はとて裝束など返し遣はすとて
源巨城
かへし
讀人志らず
物いひける女のかゞみをかりてかへすとて
男の物などいひつかはしける女の田舎の家にまかりてたゝきけれどもきゝつけずやありけむ門もあけずなりにければ田のほとりにかへるのなきけるをきゝて
文遣はしける女のはゝの戀をしこひばといへりけるが年頃へにければつかはしける
贈太政大臣
女につかはしける
伊勢
かへし
讀人志らず
題志らず
つれなく見えける人に遣はしける
かへし
あひすみける人心にもあらで別れにけるが年月をへてもあひ見むとかきて侍りける文を見出でゝ遣はしける
思ふ事侍りて男の許に遣はしける
方ふたがりとて男のこざりければ
あひ語らひける人の久しうこざりければつかはしける
題志らず
女のもとにつかはしける
伊勢
かへし
つらかりける人の許に遣はしける
贈太政大臣
かへし
讀人志らず
題志らず
伊勢
秋霧の立ちたるつとめていとつらければ此度ばかりなむいふべきといひたりければ
心の内に思ふ事や有りけむ
讀人志らず
題志らず
人の許につかはしける
朝忠朝臣
女のもとに遣はしける
大江朝綱朝臣
女につかはしける
贈太政大臣
伊勢なむ人に忘られて歎き侍るときゝて遣はしける
伊勢
かへし
平中興が女
淨藏くらまの山へなむ入るといへりければ
伊勢
あひ志りて侍りける人の稀にのみ見えければ
讀人志らず
わざとにはあらず時々物いひ侍りける女程久しうとはず侍りければ
かへし
たゞ文交はすばかりにて年へ侍りける人に遣はしける
かへし
せをそこ遣はしける女の許よりいな舟のといふ事を返事にいひ侍りければ頼みていひ渡りけるに猶あひ難きけしきに侍りければ志ばしとありしをいかなればかくはと云へりける返事につかはしける
三條右大臣
かへし
讀人志らず
いと忍びて語らふひとのおろかなるさまに見えければ
なかきが女
心ざしおろかに見えける人につかはしける
源是茂朝臣
かへし
坂上つねかげ
ある所にあふみといふ人をいと志のびて語らひ侍りけるを夜あけてかへりけるを人見てさゝやぎければその女の許につかはしける
平まれよの朝臣希世
あひ志りて侍る女の人にあだ名たち侍りけるに遣はしける
藤原成國
人の許にまかりて侍るに呼び入れねばすのこにふしあかしてつかはしける
中務
平かねきがやう/\かれがたになりにければつかはしける
讀人志らず
とし月をへてせをそこしはべりける人につかはしける
女につかはしける
かへし
人につかはしける
承香殿中納言
忘れがたになり侍りける男に遣はしける
讀人志らず
忘れ侍りにける女に遣はしける
かへし
人の娘にいと忍びて通ひ侍りけるにけしきを見て親のまもりければ五月なが雨の頃つかはしける
まだあはず侍りける女の許に志ぬべしといへりければ返事に早や死ねかしといへりければ又遣はしける
女につかはしける
かへし
源よしの朝臣 善
せをそこ志ば/\遣は志けるを父母侍りてせいし侍りければえあひ侍らで
春澄善繩朝臣女
かへし
よしの朝臣
女のもとに遣はしける
讀人志らず
かへし
貫之
人の許より歸りて遣はしける
讀人志らず
かへし
女の許に男かくしつゝよをやつくさむ高砂のといふことをいひ遣はしたりければ
貫之
人のむすめのもとに忍びつゝ通ひ侍りけるを親聞きつけていといたくいひければかへりてつかはしける
讀人志らず
はじめて女の許に遣はしける
題志らず
消息通はしける女おろかなるさまに見えはべりければ
女につかはしける
人のもとにまかりて朝につかはしける
大江千里まかり通ひける女を思ひかれがたになりて遠き所にまかりわたるといはせて久しうまからずなりにけり。此女思ひわびてねたる夜の夢にまうできたりと見えければうたがひにつかはしける
かくて遣はしたりければ千里見侍りて誠にをとゝひなむ歸りまうでこしかど心地のなやましくてなむありつるとばかりいひ送りて侍りければかさねて遣はしける
忠房朝臣
大和の守に侍りける時かの國の介藤原清秀がむすめをむかへむと契りておほやけごとによりてあからさまに京に上りたりける程に此むすめ眞延法師に迎へられてまかりにければ國に歸りてたづねてつかはしける
せをそこ遣はしける女の返事にまめやかにしもあらじなどいひて侍りければ
讀人志らず
ある人のむすめあまたありけるを姉よりはじめていひ侍りけれどきかざりければ三にあたる女に遣はしける
あさたゞの朝臣久しう音もせで文おこせて侍りければ
いと忍びてまかりありきて
かへし
小野道風朝臣
うづまさわたりに大輔が侍りけるに遣はしける
忠房朝臣
女五のみこに
女五のみこ
かへし
敦忠朝臣
みくしげ殿にはじめて遣はしける
大輔
道風忍びてまうできけるに親きゝつけてせいしければつかはしける
朝忠朝臣
大輔が許にまうできたりけるに侍らざりければ歸りて又のあしたに遣はしける
大輔
かへし
藏内侍
好古の朝臣に更にあはじとちかごとをして又のあしたにつかはしける
道風
忍びてまかりけれどあはざりければ
物いわむとてまかりたりけれどさきだちてむねもちが侍りければ早歸りねといひ出して侍りければ
大輔
かへし
敦忠朝臣
大輔がもとに遣はしける
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