みちのくにへまかれりける野中に、めにたつさまなるつかの侍け るを、とはせ侍ければ、これなん中将のつかと申すとこたへければ、中将とはいづれ の人ぞととひ侍ければ、実方朝臣の事となん申けるに、冬の事にて、しもがれのすゝ きほのぼの見えわたりて、おりふしものがなしうおぼえ侍ければ