住房の西の谷にいはほあり、定心石と名づく。松あり、繩床樹と名づく。もと二枝にし て座するにたよりあり正月。雪ふる日少しひまあるほど座禪するに松の嵐はげしく吹きて墨染の袖に霰の降 りつもりて侍りけるをつゝみて石の上をたつとて衣重明珠のたとひを思ひいでゝよみ侍りける