1 | Author: | Matsuo, Basho | Add |
Title: | Kashima mode | ||
Published: | 2006 | ||
Subjects: | Japanese Text Initiative | ||
Description: | 洛の貞室、須磨の浦の月見に行きて、「松陰や月は三五夜中納言」と言ひけむ狂夫の昔もなつかしきままに、この秋、鹿島の山の月見んと思ひたつことあり。ともなふ人ふたり、浪客の士ひとり、一人は水雲の僧。僧は烏のごとくなる墨のころもに、三衣の袋を襟にうちかけ、出山の尊像を厨子に崇め入れてうしろに背負ひ、しゅ杖ひき鳴らして、無門の関も障るものなく、天地に独歩して出でぬ。いまひとりは、僧にもあらず俗にもあらず、鳥鼠の間に名をかうぶりの、鳥なき島にも渡りぬべく、門より舟に乗りて、行徳といふところに至る。舟をあがれば、馬にも乗らず、細脛の力をためさんと、徒歩よりぞ行く。 | ||
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