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Japanese Text Initiative[X]
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1Author:  AnonymousAdd
 Title:  Taketori no okina monogatari  
 Published:  2004 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description: 今はむかし竹とりの翁といふものありけり野山にましりて竹をとりつゝ万の事につかひけり名をはさぬきの宮つことなむいひける其竹の中に本光る竹なむ一すち有けりあやしかりて寄て見るにつゝの中ひかりたりそれを見れは三寸はかりなる人いとうつくしうてゐたり翁云やう我朝毎夕毎にみる竹の中におはするにてしりぬ子になりたまふへき人なめりとて手に打入て家にもちて来ぬめの女にあつけてやしなはすうつくしき事限なしいとおさなけれはこに入てやしなふ竹とりの竹をとるに此子を見つけて後に竹とるにふしを隔てよことにこかねある竹を見つくる事かさなりぬかくておきなやう/\ゆたかになり行この児やしなふほとにすく/\とおほきになり増る三月計の内によきほとなる人になりぬれはかみあけなとさうしてかみあけさせもきすちやうのうちよりもいたさすいつきかしつきやしなふ此児のかたちのけさうなる事よになく屋のうちは闇き所なく光満たり翁心あしく候へし時も此子をみれはくるしき事もやみぬ腹たゝしくあることもなくさみけり翁竹をとる事久敷成ぬいきほひまうの物に成にけり此子いと大きに成ぬれはなをみむろといむへのあきたを喚てつけさすあきたなよ竹のかくや姫とつけつれ此ほと三日打あけあそふ万のあそひをそしける男はうけきらはすよひつとへてかしこくあそふ世かいのをのこあてなるもいやしきもいかて此かくや姫をえてしかな見てしかなと音に聞愛てまとふ其あたりの垣にも家の戸にもをる人たにたはやすくみるましき物を夜はやすきいもねす闇の夜にもこゝかしこよりのそきかいまみまとひあへりさる時よりなん夜はひとは云ける人も物ともせぬ所にまとひありけとも何のしるしあるへくも見えす家の人ともに物をたにいはんとていひかくれともことゝもせすあたりをはなれぬきんたち夜をあかし日をくらす人おほかりをろかなる人はようなきありきはよしなかりけりとてこす成にけりその中になを云けるは色好みといはるゝ限五人思ひやむ時なく夜ひる来けり其名とも石作りの御子、くらもちの御子左大臣安倍のみむらし大納言大とものみゆき中納言いそのかみのもろたり此人々なりけり世中におほかる人をたにすこしも形ちよしと聞ては見まほしくする人とも也けれはかのかくや姫をみまほしくて物もくはす思ひつゝかの家に行てたゝすみありきけれともかひあるへくもあらす文を書てやれとも返事もせす侘歌なと書てをこすれともかひなしと思へと霜月しはすの降氷水無月のてりはたゝくにもさはらすきたり此人々ある時は竹とりを喚てむすめを我にたへとふし拝み手をすりのたまへとをのかなさぬ子なれは心にも随はすなむあると云て月日を過すかゝれは此人々家に帰りて物を思ひ祈りをし願をたつ思ひやむへくもあらすさりとも終に男あはせさらんやはとおもひて頼をかけたりあなかちに心さしをみえありく是を見つけて翁かくや姫に云給我子のほとけへんけの人と申なからこゝらおほきさまてやしなひたてまつる志をろかならす翁の申さん事を聞給ひてんやといへはかくや姫何事をかのたまはむ事を承はらさらむ変化の物にてはんへりけん身ともしらす親とこそおもひ奉れといへは翁うれしくもの給ふ物かなと云翁年七十にあまりぬ今日ともあすともしらす此世の人はおとこは女に逢女は男にあふ事をす其後なむ門もひろくもなり侍るいかてかさる事なくてはおはしまさむかくや姫のいはくなむてうさる事かし侍らんと云は変化の人といふとも女の身持給へり翁のあらんかきりはかうてもいますかりなんかし此人々の年月を経てかうのみいましつゝのたまふ事をおもひ定て独々にあひ奉り給ひねといへはかくや姫いはくよくもあらぬ形ちをふかき心もしらてあた心つきなは後くやしき事も有へきをと思ふはかり也世の賢き人成ともふかき志をしらてはあひかたしとなむ思ふと云翁いはく思ひのことくもの給ふかなそも/\いかやうなる志あらん人にはあはんとおほすかはかりの心さしをろかならぬ人々にこそあめれかくや姫のいはくなにはかりのふかきをかみんといはむいさゝかの事也人の心さしひとしかんなりいかてか中にをとりまさりはしらむ五人のひとの中にゆかしき物みせ給へらんに御志まさりたりとてつかふまつらんとそのおはすらん人々に申給へといふよき事なりとうけつ日くるゝ程に例のあつまりぬあるひは笛を吹或はうたをうたひ或は琵琶しやうかをしあるひはうそふきあふきをならしなとするに翁出ていはく忝もきたなけなる所に年月を経てものし給ふ事きはまりたるかしこまりと申す翁の命今日明日ともしらぬをかくの給ふ君達にもよく思ひ定てつかふまつれと申も理なりいつれもをとり増りおはしまさねは御志の程はみゆへしつかふまつらん事はそれになむ定むへきといへは是よき事なり人の御恨も有ましと云五人の人々もよき事也といへは翁入て云かくや姫石作の御子には・佛の御いしのはちと云物ありそれをとりて給へと云倉もちの御子には東の海に蓬莱と云山ありそれにしろかねを根として金をくきとし白き玉をみとしたてる木ありそれを一えたおりて給はらんと云今独にはもろこしにある火鼠の革きぬをたまへ大ともの大納言には龍のくひに五色に光る玉ありそれをとりて給へ磯の上の中納言にはつはくらめのもたるこやすのかひ一つとりてたまへといふ翁かたき事ともにこそあなれ此国に有物にはあらすかく難事をはいかに申さんといふかくや姫なにかかたからんといへは翁とまれかくまれ申さんとて出てかくなむきこゆるやうに見たまへといへは御子たち上たちめ聞ておいらかにあたりよりたになありきそとやはのたまはぬといひてうむしてみな帰ぬなを此女みては世にあるましき心ちしけれは天竺にある物ももてこぬものかはと思ひめくらしていしつくりの御子は心のしたくある人にて天竺に二つとなきはちを百千万里のほといきたりともいかてとるへきと思ひてかくや姫のもとには今日なん天竺へ石のはちとりにまかると聞せて三年計大和国とをちの郡に有山寺にひむつるの前なるはちのひたくろに墨付たるを取て錦の袋に入てつくり花の枝につけてかくや姫の家にもて来て見せけれはかくや姫あやしかりてみれははちの中にふみ有ひろけて見れは
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