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Japanese Text Initiative in subject [X]
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Subject
Japanese Text Initiative[X]
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Date
181Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Onna ga kite  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  良人は昨日来た某警察署の高等視察のした話をSさんにして居ました。私は手に卓上と云ふ茶色の表紙をした雑誌を持ちながら、初めて聞く話でしたから良人の言葉に耳を傾けて居ました。
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182Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  "Onna rashisa" to wa nani ka  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  日本人は早く仏教に由って「無常迅速の世の中」と教えられ、儒教に由って「日に新たにしてまた日に新たなり」ということを学びながら、それを小乗的悲観の意味にばかり解釈して来たために、「万法流転」が人生の「常住の相」であるという大乗的楽観に立つことが出来ず、現代に入って、舶載の学問芸術のお蔭で「流動進化」の思想と触れるに到っても、 動 ( やや ) もすれば、新しい現代の生活を 呪詛 ( じゅそ ) して、 黴 ( かび ) の生えた因習思想を維持しようとする人たちを見受けます。たとえていうなら、その人たちは後ろばかりを見ている人たちで、現実を正視することに 怠惰 ( たいだ ) であると共に、未来を透察することにも臆病であるのです。そういう人たちは保守主義者の中にもあれば、 似非 ( えせ ) 進歩主義者の中にもあるかと思います。
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183Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Rikon ni tsuite  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  陸軍軍医 正 ( せい ) の藤井氏と東京音楽学校助教授の 環 ( たまき ) 女史との離婚が、新聞紙の上で趣味の相違から生じた離婚だとか、陸軍と芸術との衝突だとか 大袈裟 ( おおげさ ) に報道せられ、これについて諸先生方の御批評なども見えております。陸軍と芸術とがもし衝突致すものなら、 只今 ( ただいま ) の我国の有様ではとても筆や楽器は鉄砲に 叶 ( かな ) いませんから、素直に鉄砲に屈従して離婚 沙汰 ( ざた ) などには立至らずに納まりそうなものでしたが、どういうものでしょうか。
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184Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Sanmen ittai no seikatsu e  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  私たちは個人として、国民として、世界人としてという三つの面を持ちながら、それが一体であるという生活を意識的に実現したい。誰も無意識的には、また偶然的にはこの三面一体の生活の中に出つ入りつしているのですが、それを明らかに意識すると共に、出来るだけ完全にその三面が一体である生活を築いて行きたいと思うのです。
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185Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Senkyo ni taisuru fujin no kibo  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  私は少しばかり政治について所感を述べようと思います。私たち婦人は憲法の上でこそ男子と同等の権利を持った個人ですが、専ら男子に由って作られた法律の上では憲法と矛盾して、不合理にも、単に女性であるからという理由だけで私たちの生存に必要ないろいろの権利を制限されております。以前のように依頼主義と屈従主義とに甘んじていた婦人と 異 ( ちが ) い、個人としての自己の欲望の尊厳と、自己の能力の無限とを信ずる今日の婦人にあっては、次第に男女間の権利の 偏頗 ( へんぱ ) が苦痛の種となります。
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186Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Shin fujin kyokai no seigan undo  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  去年の十一月に大阪朝日新聞社が主催となって関西婦人連合大会を大阪に開いたことは、多数の保守的な婦人団体を現代的に覚醒させるために、確かに一つの好い刺激になったと思います。我国の婦人とても、天賦的に 引込思案 ( ひっこみじあん ) な者ではなく、男子専権の社会に圧迫されて、自主的に行動する意気を 麻痺 ( まひ ) し、もしくはわざと遠慮気兼をして、万事に控目な依頼主義を取っているに過ぎないのですから、社会の有力な代表者である新聞社などがそういう風に保障と激励とを寄せられるならば、それに引出されて我国の婦人も必ず大に動き初めるに違いありません。現に大阪朝日新聞社に由って連合大会が催されて以来、関西の各地において婦人の新運動が続々と起りつつあるのを見受けます。名古屋市の教養婦人会が婦人の文化講座を開いたことなどもその一例です。
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187Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Fujin to shiso  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  行うということ働くということは器械的である。従属的である。それ自身に価値を 有 ( も ) っていない事である。神経の下等中枢で用の足る事である。わたしは人において最も貴いものは想うこと考えることであると信じている。想うことは最も自由であり、また最も楽しい事である。また最も 賢 ( かしこ ) く優れた事である。想うという能力に 由 ( よ ) って人は理解もし、設計もし、創造もし、批判もし、反省もし、統一もする。想うて行えばこそ初めて行うこと働くことに意義や価値が生ずるのである。人が動物や器械と異る点はこの想うことの能力を 有 ( も ) っているからである。また文明人と野蛮人との区別もこの能力の発達不発達に比例すると思う。
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188Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Shokuryo sodo ni tsuite  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  このたびの三府一道三十余県という広汎な範囲にわたって爆発した民衆の食糧騒動は 天明 ( てんめい ) や 天保 ( てんぽう ) 年間の飢饉時代に起ったそれよりは劇烈を極めて、大正の歴史に意外の汚点を 留 ( とど ) めるに到りました。私はこれについて浮んだいろいろの感想の一部を順序もなく書きます。
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189Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Shokuryo sodo ni tsuite  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  或会社の技師をしている工学士某氏の妻が自分に対する 苛酷 ( かこく ) を極めた処置に堪えかねて姑を刺したという 故殺 ( こさつ ) 未遂犯が近頃公判に附せられたので、その事件の真相が諸新聞に現れた。嫁が姑を 刃傷 ( にんじょう ) したということは 稀有 ( けう ) な事件である。無教育な階級の婦人間においてさえ類例を見出しがたいことであるのに、工学士の妻として多少の教育もあり、女優として立とうと決心していたほど新代の芸術に対する 渇仰 ( かつごう ) もある婦人が、こういう惨事を引起すに至ったについては何か特別な理由がなくてはならない。私は諸新聞の態度が初めから一概に被告を憎んで掛らずに、 力 ( つと ) めて細かに事件の真実を伝えようとし、その結果『東京朝日』記者のように特に被告に対して同情のある報道をされたことを、被告と同じ女性の一人として感謝する者である。
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190Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Sumiyoshimatsuri  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  海辺の方ではもう 地車 ( だんじり ) の太鼓が鳴つて居る。 横町 ( よこちやう ) を通る人の足音が常の十倍程もする。子供の声、 甲高 ( かんだか ) な女の声などがそれに交つて、朝湯に 入 ( はひ ) つて居る私を早く早くと 急 ( せ ) き立てるやうに 聞 ( きこ ) えた。 此処 ( こゝ ) に近い 土蔵 ( くら ) の入口に 大 ( おほ ) 番頭が立つて、
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191Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Watashi no teisokan  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  従来は貞操という事を感情ばかりで取扱っていた。「女子がなぜに貞操を尊重するか。」こういう疑問を起さねばならぬほど、昔の女は自己の全生活について 細緻 ( さいち ) な反省を下すことを欠いていた。女という者は昔から定められたそういう習慣の下に盲動しておればそれで十分であると 諦 ( あきら ) めていた。
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192Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  To no soto made  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  自室から出ましてね、廊下の向うの隅に腰を掛けて車丁に、
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193Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Hiratsuka, Yamakawa, Yamada san joshi ni kotau  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  女史の経済的独立と母性保護問題とについて、平塚雷鳥さんと私との間に 端 ( はし ) なくも意見の相異を見たのに対して、平塚さんからは、再び 辛辣 ( しんらつ ) な 反駁 ( はんばく ) を寄せられ、 山川菊栄 ( やまかわきくえ ) さんと山田わか子さんのお二人からは、 鄭重 ( ていちょう ) な批評を書いてくださいました。私は何よりも先ず三氏の御厚意に対して十分の感謝を捧げねばなりません。三氏のような豊富な学殖を持たず、三氏のような博詞宏弁を 能 ( よ ) くし得ない鈍根な私の書いたものが、 偶※ ( たまたま ) [1]三氏のお目に触れたというだけでも、私に取ってはかなり嬉しいことであるのに、「唯だ 看 ( み ) て過ぎよ」とせずに、わざわざ私のために啓蒙の筆を執って下すったということは真に想いがけない光栄であると感じます。
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194Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Ubuya monogatari  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:   雛 ( ひな ) の節句の晩に男の子を挙げてまだ産屋に 籠 ( こも ) っている私は医師から筆執る事も物を読む事も許されておりません。ところで 平生 ( ふだん ) 忙 ( せわ ) しく暮しておりますので、こう静かに 臥 ( ふせ ) っておりますと何だか独りで旅へ出て 呑気 ( のんき ) に温泉にでも入っておるような気が致しますし、また 平生 ( ふだん ) 考えもせぬ事が色色と胸に浮びます。お医者には 内所 ( ないしょ ) で少しばかり書きつけて見ましょう。
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195Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Hiratsuka san to watashi no ronso  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  私は女子の生活が精神的にも経済的にも独立することの理想に対して、若い婦人の中の識者から反対説が出ようとは想像しませんでした。それは、この理想の実現が人生に真の幸福を築き初める第一の基礎であることが余りに明白なことだからです。しかるに 平塚雷鳥 ( ひらつからいちょう ) さんが最近に私の主張する女子の経済的独立に抗議を寄せられたのは非常に意外の感に打たれました。
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196Author:  Yosano, AkikoRequires cookie*
 Title:  Fujin mo sanseiken o yokyusu  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  二月に入って 俄 ( にわ ) かに普通選挙の運動が各地に起り出しました。かつて明治四十一年に政友会の提出した普通選挙法案が一旦衆議院を通過しながら、元老や貴族院の保守的勢力の圧迫に依って頓挫してしまったことは、私たちの記憶にまだ新しいのですが、今年の議会に国民党、憲政会、政府等から各別に三つの選挙法改正案が提出された際ですから、これを好い機会として、久しく眠っていたこの運動が十幾年ぶりに復活して来たのだと思います。
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