| 61 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Akarui kaihin | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 陽子が見つけて貰った貸間は、ふき子の家から大通りへ出て、三町ばかり離れていた。どこの海浜にでも、そこが少し有名な場所なら必ずつきものの、船頭の古手が別荘番の
傍
(
かたわら
)
部屋貸をする、その一つであった。 | | Similar Items: | Find |
62 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Annetto | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 好きな物語の好きな
女主人公
(
ヒロイン
)
は一人ならずあるが、今興味をもっているのは、ロマン・ローランの長篇小説 The Soul Enchanted(魅せられた魂)の
女主人公
(
ヒロイン
)
アンネットです。この小説はジャン・クリストフのように、アンネットという女性の一生を取扱ったもので、まだ第三巻目が発行されたばかりで、而もその「母と子」という題の三冊目はまだ読んでいないから、私の内でアンネットの人格は全く発展の中途にあるのです。 | | Similar Items: | Find |
64 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Arare sasa | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 宗達の絵の趣などは、知っている人には知られすぎていることだろうが、私はつい先頃源氏物語図屏風というものの絵はがきに縮写されているのを見て、美しさに深いよろこびを感じた。 | | Similar Items: | Find |
67 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Asu saku hana | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 文学の歴史をみわたすと、本当に新しい意味で婦人が文学の活動に誘い出されて来たのは、いつも、人民の権利がいくらか多くなって、すべての人が自分の考えや感じを表現してよいのだ、という確信を得た時代であった。 | | Similar Items: | Find |
68 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Atarashii bungaku no tanjo: Wakai hito ni okuru | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 文学に心をひかれる人は、いつも、自分がかきはじめるより先にかならず読みはじめている。しかも、わたしたちがはじめて読んだ小説や、詩はどんな工合にして手にふれたかと云えば、それは十中八九偶然である。そういう人は大抵よむのがすきで、年の小さいときからいつとはなしに、あれやこれやの文学をよんで来ているのだが、はじめて読んだ小説をいまわたしたちがわきまえているような意味では、小説だとさえ知らずに読みはじめたような場合も多いと思う。ふとよんだものに不思議にひきつけられ、
犢
(
こうし
)
がうまい草にひかれてひろい牧場の果から果へ歩くように、段々そういう種類の本をさがして読みすすんで、あるとき、ほんとに自分は文学が好きなのだった、と自分に発見する。こういう過程は、私たちのすべてが経験していることではないだろうか。 | | Similar Items: | Find |
70 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Ogai, Soseki, Toson nado: "Chichiue sama" o megutte | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | つい先頃、或る友人があることの記念として私に小堀杏奴さんの「晩年の父」とほかにもう一冊の本をくれた。「晩年の父」はその夜のうちに読み終った。晩年の鴎外が馬にのって、白山への通りを行く朝、私は女学生で、彼の顔にふくまれている一種の美をつよく感じながら、愛情と羞らいのまじった心でもって、鴎外の方は馬上にあるからというばかりでなく、自分を低く小さい者に感じながら少し道をよけたものであった。観潮楼から斜かいにその頃は至って狭く急であった団子坂をよこぎって杉林と交番のある通りへ入ったところから、私は毎朝、白山の方へ歩いて行ったのであった。 | | Similar Items: | Find |
71 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Asu no chisei | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 第二次ヨーロッパ大戦は、私たち現世紀の人間にさまざまの深刻な教訓をあたえた。そのもっとも根本的な点は国際間の複雑な利害矛盾の調整は、封建的で、また資本主義的な強圧であるナチズムやファシズムでは、できなかったという事実である。もっと進歩した、もっと合理的な方法でなくては――ただ殺戮、侵略、武力では、国際間の問題は解決しないということを血をもって学んだ。 | | Similar Items: | Find |
72 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Eiga no kataru genjitsu | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | パァル・バックはアメリカ人であるが中国で成長して、中国の生活を小説にかく婦人作家である。彼女の作品をまだよまない人でもポール・ムニとルイゼ・ライナーが主演している「大地」は見物したであろうと思う。ひところ、あの映画もこの頃の情勢で公開されないかもしれないなどと言われていたが、ともかく観ることが出来てうれしかった。 | | Similar Items: | Find |
73 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Ganchiku aru saigetsu: Nogami Yaeko san e no tegami | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 初めてあなたのお書きになるものを読んだのは、昔、読売新聞にあなたが「二人の小さいヴァガボンド」という小説を発表なさったときであり、その頃私は女学校の上級生で、きわめて粗雑ながら子供の心理の輪廓などを教わっていた時分のことでした。もうそれからでも、ざっと二十年は経ちます。そして、あの当時にあっては大変ハイカラーで欧州風の教養の匂いの高かった作品の中で、母なる作者の愛情と観察につつまれつつ活躍していた二人のヴァガボンドのうち、一人は言語学者としてイタリーへの交換学生として旅立っており、一人はもう若い物理学者として、この新聞を読むであろう学生の一部の人々を指導しているという今日の有様です。 | | Similar Items: | Find |
77 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Gorubatofu "Kofuku naki tami" | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 最近のソヴェト文学をよみたくて読めなかった日本の読者に、ゴルバートフの「降伏なき民」はうれしいおくりものであった。今年の初め、シーモノフ、アガーポフ、クドレワートウィフ等と一緒にゴルバートフも暫く東京に来ていた。ゆたかな声量と生粋のソヴェト人の歌好きのこころで「前線通信員」の活気横溢する歌をうたう、ゴルバートフ。一九一七年以後に成長して、社会主義建設の中で青年となった新しい気質のソヴェト作家が、あらゆる人々とともにナチスに侵略された自分たちの建設祖国を、どんなに愛し、護り、そのために献身したか、まざまざと伝えられる情熱をもって「降伏なき民」はかかれている。 | | Similar Items: | Find |
79 | Author: | Miyamoto, Yuriko | Add | | Title: | Geijutsu ga hitsuyo to suru kagaku | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 去年の八月頃のことであった。三日ばかり極端に暑気のはげしい日がつづいた。日の当らないところに坐っていても汗が体から流れてハンケチなんか忽ち水でしぼったようになった。その時の私の生活状態は特別なもので、その暑中に湯を浴ることもできなければ、櫛で髪をとかすことも自由にはできない有様であったから、大変に疲労した。胸の前で、自分の汗に濡れたハンケチをくるくるとまわしてやっとあたりの臭い空気をうごかし、蝉の声さえ聞えて来ることのない日中を過ごした。 | | Similar Items: | Find |
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