| 1 | Author: | Anonymous | Add | | Title: | Sumiyoshi monogatari | | | Published: | 2004 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | むかし中納言にて左衞門督かけたる人侍けりうへ二人をかけてそかよひ給ける一人は時めく諸大夫のむすめそのはらに女君二人いてき給へりいまひとりはふるきみやはらの御むすめにておはしけるかいかなるすくせにてこの中納言よな/\かよひ給ける程にやかて人めもつゝます成てすみわたり給けるかひかる程の女君いてき給けるおもひのまゝなれはおほしかしつき給ことかきりなし姫君日かすふるまゝにおひ出給へりとし月かさなりて八はかりになり給ひけるとしはゝ宮れいならすなやみ給けるか日をへておもくのみなりまさり給けれは中納言に聞え給けるやうはわれはかなくなりなはこのおさなきものゝためうしろめたうなん侍へきわれなからんあとなりともなみ/\ならんふるまひせさせ給ふないかにも/\みかとにたてまつらせ給へことむすめたちにおほしおとすなとなく/\聞え給へは中納言もうちなき給て我もおなしおやなれはおとりてやなとかたらひつゝあかしくらす程に世の哀にはかなくつねなき所なれはなさけなくむかしかたりになりはてにけり中納言おなし道にとかなしみ給ひなからのち/\のわさもさるへきやうにして四十九日もほとなうはてぬれはもとの北のかたへわたり給にけりひめ君おさなき御心ちにことのはにつけてこ宮の御事をおほしつゝかなしみ給ひてけるに中納言さへわたり給ひぬれはいとゝつれ/\かきりなくふたはのこはき露おもけなりけれは御めのととかくなくさめてそ過し侍ける中納言ともすれはみきこえにわたりてかへり給へはなをしの袖をひかへてゆくゑもしらぬ程なれは涙をなかしつゝしたひまほしきけしきを御覧するにつけてもはかなくなりにし人の俤ふと思ひ出るにもむねうちさはきをそふる袖もあやしくていとゝ心くるしくこそ侍らんなとかたらはせ給ひてこしらへをき我にもあらぬ心ちにてかへらせ給にけり帰り給ひても姫君のおほしなけきつる俤のみ心にかゝりてことむすめたち一所に住せまほしくおほしなから今もむかしもまことならぬおやこの中なれはとてめのとのもとにすませ聞え給へり日かすふるまゝにひかりさしそふ心ちしてみえ給ひけれはめのと哀此御けしきをこ宮に御覧せはいかはかりおほしかしつき給はんなといひて御くしをかきなてなくより外の事なかりけり十あまりにも成給ひけれはめのと中納言に申けるはおさなくおはしますほとこそとてもかくても侍れこの一とせ二とせになりていかにならせ給ふる年月心もとなくなんかなしくこ宮のおほせ候し御宮つかへいかにと聞えけれは中納言うれしくも心にかけぬる事よわれもわするゝ時なけれともおもふにかなはぬことのみにてこそは過行侍れさりなからむかへて見聞えんとて正月の十日とさためてかへり給ぬ漸その日にも成ぬれはむかへ奉り給たれは今二人の御むすめたちとうちかたらひておはしますをみていとうれしきことにそめやすくおほしける中の君三の君はとり/\にいとにほひやかになへてのにはあらぬ御けしきなれとひめきみは今一しほ匂ひくはゝりてひかるなとはこれを申にやとそ見え給けるこのひめきみの御めのと子に侍従と聞ゆる侍けり年はひめ君に今二はかりのまさりにてすかたありさまありつかはしくものなといひ出したるさまもいとあらまほしくそ見え侍けるこれそ姫きみにつきそひてたかひにかた時もたちはなれんも物うくおもひてそあかしくらし給ける中納言にしのたいしつらひてすませ侍らんとてそのいとなみにてそ侍けるまゝ母心のうちにはいかゝおもひけん人聞には聞ゆるやうまことにはゝ宮にをくれ給てのちむかへ奉らまほしう侍つれともけふ/\とのみおもひてすくしつるにわかき人々あまたおはするたかひにつれ/\なくさめていとうれしき事にこそいかにをさなき心ちにそのむかしこひしくおほし出らんあなあはれやと聞ゆれはめのとまことにとし比あやしきところにうつもれておはせしにはていかゝなとかきくもりかなしく侍しにこれを見奉れはよろつはれぬる心ちしてよみちやすくこそなといひつゝけてうちなき侍けりむかひはらなれは中の君にはひやうゑのすけなる人あはせてけり西のたいにすみ給へは中のきみ三のきみむつれあそひたかひにむつましく思ひて明しくらし給けりこ宮のおほせられし御宮つかへのこといかにと御めのとわするゝ時なくおとろかし侍けれは中納言われもおこたる時なけれともきたのかたに聞えあはせんにわか子ならねは心にいそかんこともかたけれはいひもいてすとて思ひわつらひ給けりかくて月日かさなりゆくほとに右大臣なる人の御子に四位の少将とて世にすくれたる人侍けるいかにもおもふさまなる人もかなとあさゆふは御心もそらにあくかれて物かなしきに右大臣のはした物にそらさへといふ物のおとこにてありける下つかへになりてちくせんと聞ゆるなん中納言の宮の世まてはとのもの大夫といふものをおとこにて侍けれはあさゆふにこのひめ君をは見聞けりちくせん右大臣の家のきたのかたにて人のよしわろき事かたるつゐてに中納言の宮はらの姫君こそをさなおひめてたくふたはのこはきをみる心ちせしかいかにおひ出給たらんこはゝ宮のうせ給てのちは四五年は見侍らすといふを少将たち聞給ていとうれしきことを聞つる物かなとおほしてわかさうしにちくせんをよひて見るらんやうにさもとある人あまたあれとも物うくのみしてすくす中納言の宮はらの姫君はみしかとたつね給ひけれはちくせんおとこにて侍しものこはゝ宮に侍しかはよくみ奉りて侍し世にうつくしくさふらふ中納言とのは宮つかへをとの給へともうちかなはておほしなけくとそうけたまはるといへはその人の事いひよりてふみなとつたへてんやとの給へはかなはんことはしらす御ふみをもて参りてこそは見侍らめと聞ゆれはよろこひて十月はかりにもみちかさねのうすやうに | | Similar Items: | Find |
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