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Japanese Text Initiative in subject [X]
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Japanese Text Initiative[X]
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141Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Anzu no wakaba  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description: 「おや、時計がとまっているでないか」
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142Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Arare sasa  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  宗達の絵の趣などは、知っている人には知られすぎていることだろうが、私はつい先頃源氏物語図屏風というものの絵はがきに縮写されているのを見て、美しさに深いよろこびを感じた。
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143Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  "Aru onna" ni tsuite no noto  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  有島武郎の作品の中でも最も長い「或る女」は既に知られている通り、始めは一九一一年、作者が三十四歳で札幌の独立教会から脱退し、従来の交遊関係からさまざまの眼をもって生活を批判された年に執筆されている。
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144Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Asa no kaze  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  そのあたりには、明治時代から赤煉瓦の高塀がとりまわされていて、独特な東京の町の一隅の空気をかたちづくっていた。
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145Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Asu saku hana  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  文学の歴史をみわたすと、本当に新しい意味で婦人が文学の活動に誘い出されて来たのは、いつも、人民の権利がいくらか多くなって、すべての人が自分の考えや感じを表現してよいのだ、という確信を得た時代であった。
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146Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Atarashii bungaku no tanjo: Wakai hito ni okuru  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  文学に心をひかれる人は、いつも、自分がかきはじめるより先にかならず読みはじめている。しかも、わたしたちがはじめて読んだ小説や、詩はどんな工合にして手にふれたかと云えば、それは十中八九偶然である。そういう人は大抵よむのがすきで、年の小さいときからいつとはなしに、あれやこれやの文学をよんで来ているのだが、はじめて読んだ小説をいまわたしたちがわきまえているような意味では、小説だとさえ知らずに読みはじめたような場合も多いと思う。ふとよんだものに不思議にひきつけられ、 犢 ( こうし ) がうまい草にひかれてひろい牧場の果から果へ歩くように、段々そういう種類の本をさがして読みすすんで、あるとき、ほんとに自分は文学が好きなのだった、と自分に発見する。こういう過程は、私たちのすべてが経験していることではないだろうか。
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147Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Genjitsu to bungaku: Shiiteki na seikatsu kanjo  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  十一月号の『中央公論』に「杉垣」という短篇を書いた。その評の一つとして武田麟太郎氏の月評が『読売新聞』に出ているのを読んだ。
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148Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Ogai, Soseki, Toson nado: "Chichiue sama" o megutte  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  つい先頃、或る友人があることの記念として私に小堀杏奴さんの「晩年の父」とほかにもう一冊の本をくれた。「晩年の父」はその夜のうちに読み終った。晩年の鴎外が馬にのって、白山への通りを行く朝、私は女学生で、彼の顔にふくまれている一種の美をつよく感じながら、愛情と羞らいのまじった心でもって、鴎外の方は馬上にあるからというばかりでなく、自分を低く小さい者に感じながら少し道をよけたものであった。観潮楼から斜かいにその頃は至って狭く急であった団子坂をよこぎって杉林と交番のある通りへ入ったところから、私は毎朝、白山の方へ歩いて行ったのであった。
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149Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Asu no chisei  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  第二次ヨーロッパ大戦は、私たち現世紀の人間にさまざまの深刻な教訓をあたえた。そのもっとも根本的な点は国際間の複雑な利害矛盾の調整は、封建的で、また資本主義的な強圧であるナチズムやファシズムでは、できなかったという事実である。もっと進歩した、もっと合理的な方法でなくては――ただ殺戮、侵略、武力では、国際間の問題は解決しないということを血をもって学んだ。
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150Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Eiga no kataru genjitsu  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  パァル・バックはアメリカ人であるが中国で成長して、中国の生活を小説にかく婦人作家である。彼女の作品をまだよまない人でもポール・ムニとルイゼ・ライナーが主演している「大地」は見物したであろうと思う。ひところ、あの映画もこの頃の情勢で公開されないかもしれないなどと言われていたが、ともかく観ることが出来てうれしかった。
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151Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Ganchiku aru saigetsu: Nogami Yaeko san e no tegami  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  初めてあなたのお書きになるものを読んだのは、昔、読売新聞にあなたが「二人の小さいヴァガボンド」という小説を発表なさったときであり、その頃私は女学校の上級生で、きわめて粗雑ながら子供の心理の輪廓などを教わっていた時分のことでした。もうそれからでも、ざっと二十年は経ちます。そして、あの当時にあっては大変ハイカラーで欧州風の教養の匂いの高かった作品の中で、母なる作者の愛情と観察につつまれつつ活躍していた二人のヴァガボンドのうち、一人は言語学者としてイタリーへの交換学生として旅立っており、一人はもう若い物理学者として、この新聞を読むであろう学生の一部の人々を指導しているという今日の有様です。
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152Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Itari geijutsu ni aru hitotsu no mondai: Iwayuru `dasshutsu` e no gimon  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:   先達 ( せんだっ ) て「リビヤ白騎隊」というイタリー映画の試写を観る機会を得た。原作はフランスのジョセフ・ペイレのゴンクール受賞作品だそうで、ファッショ紀元十五年度のムッソリーニ賞杯獲得映画である。筋は単純なものである。クリスチアーナという女の愛に失望したマリオ・ルドヴィッチ中尉が従来の生活環境と感情とから脱却するために、アフリカのリビヤへ赴きそこの守備隊に加って土民征服に出かける。この経験から生きる目的を一変させた中尉ルドヴィッチは後を慕って来たクリスチアーナにむかって、自分はここから去ることは出来ない、去る気もないと彼女の愛をも拒む。それが終りとなっているのである。
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153Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Gokanen keikaku to Soveto domei no bunkateki hiyaku  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  一九三〇年の夏のことだ。
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154Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  "Gorikii-den" no chien ni tsuite  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  私が、ゴーリキイの評伝を一冊にまとめて見たいと思った動機は二つあった。一つは、どちらかというと外部的な事情であった。
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155Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Gorubatofu "Kofuku naki tami"  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  最近のソヴェト文学をよみたくて読めなかった日本の読者に、ゴルバートフの「降伏なき民」はうれしいおくりものであった。今年の初め、シーモノフ、アガーポフ、クドレワートウィフ等と一緒にゴルバートフも暫く東京に来ていた。ゆたかな声量と生粋のソヴェト人の歌好きのこころで「前線通信員」の活気横溢する歌をうたう、ゴルバートフ。一九一七年以後に成長して、社会主義建設の中で青年となった新しい気質のソヴェト作家が、あらゆる人々とともにナチスに侵略された自分たちの建設祖国を、どんなに愛し、護り、そのために献身したか、まざまざと伝えられる情熱をもって「降伏なき民」はかかれている。
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156Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Kodomo no tame ni kaku haha tachi: "Mura no tsuki yo" ni fure tsutsu  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  私のところに、今年四つになる甥が一人いる。汽車や自動車、飛行機などの絵本が面白いさかりで、縁側の障子を閉めたこっちで、聞いていると、母親をつかまえて、ああちゃんポッポ! ね? など、片言に話し、それに答えて母親がまたびっくりするような上手さで、いろいろこの小さい子供が往来で見聞して来ているものや子供をよろこばせたこまごました印象と結びつけ、電車の物語、自動車の物語をしてやっている。
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157Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Geijutsu ga hitsuyo to suru kagaku  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  去年の八月頃のことであった。三日ばかり極端に暑気のはげしい日がつづいた。日の当らないところに坐っていても汗が体から流れてハンケチなんか忽ち水でしぼったようになった。その時の私の生活状態は特別なもので、その暑中に湯を浴ることもできなければ、櫛で髪をとかすことも自由にはできない有様であったから、大変に疲労した。胸の前で、自分の汗に濡れたハンケチをくるくるとまわしてやっとあたりの臭い空気をうごかし、蝉の声さえ聞えて来ることのない日中を過ごした。
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158Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Ichiren no hi-proretaria teki sakuhin: "Kame no chari", "Osanaki gassho", "Ki no nai mura"; Fu Sosaku katsudo to soshiki katsudo to no toitsu no mondai ni furete  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  十月下旬行われた作家同盟主催の文学講習会のある夜、席上でたまたま「亀のチャーリー」が討論の中心となった。ある講習会員が「亀のチャーリー」をとりあげ、その作品は一般読者の間で評判がよく親しみをもって読まれたから、ああいう肩のこらない作品の型もプロレタリア文学の中にあってよいのではないかという風に問題をおこし、プロレタリア文学のジャンルの問題に連関させていた。
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159Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Ikitsutsu aru jiishiki  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  ロジェ・マルタン・デュガールの長篇小説「チボー家の人々」は太平洋戦争がはじまる前に、その第七巻までが訳された。山内義雄氏の翻訳で、どっさりの人に愛読されていたものであったが、ドイツのナチズムとイタリーのファシズムの真似一点ばりだった当時の日本の政府は、敵性の文学であるという理由で、それから益々興味ふかくなる第八巻からあとの出版をさせなかった。
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160Author:  Miyamoto, YurikoRequires cookie*
 Title:  Inga:Soveto bungaku ni arawareta fujin no seikatsu  
 Published:  2003 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description:  インガ・リーゼルは三十歳である。
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