| 68 | Author: | Futabatei, Shimei | Requires cookie* | | Title: | Yo ga genbun itchi no yurai | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | 言文一致に就いての意見、と、そんな大した研究はまだしてないから、寧ろ一つ懺悔話をしよう。それは、自分が初めて言文一致を書いた由來――もすさまじいが、つまり、文章が書けないから始まったといふ一伍一什の顛末さ。 もう何年ばかりになるか知らん、余程前のことだ。何か一つ書いて見たいとは思ったが、元來の文章下手で皆目方角が分らぬ。そこで、坪内先生の許へ行って、何うしたらよからうかと話して見ると、君は圓朝の落語を知ってゐよう、あの圓朝の落語通りに書いて見たら何うかといふ。 | | Similar Items: | Find |
74 | Author: | Hayashi, Fumiko | Requires cookie* | | Title: | Ukigumo | | | Published: | 2002 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | なるべく、夜更けに着く汽車を選びたいと、三日間の收容所を出ると、わざと、敦賀の町で、一日ぶらぶらしてゐた。六十人餘りの女達とは收容所で別れて、税關の倉庫に近い、荒物屋兼お休み處といつた、家をみつけて、そこで獨りになつて、ゆき子は、久しぶりに故國の疊に寢轉ぶことが出來た。 | | Similar Items: | Find |
80 | Author: | Izumi, Kyoka | Requires cookie* | | Title: | Baishoku kamonanban | | | Published: | 2003 | | | Subjects: | Japanese Text Initiative | | | Description: | はじめ、目に着いたのは――ちと申兼ねるが、――とにかく、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
であった。その燃立つようなのに、朱で
処々
(
ところどころ
)
ぼかしの入った
長襦袢
(
ながじゅばん
)
で。女は
裙
(
すそ
)
を
端折
(
はしょ
)
っていたのではない。
褄
(
つま
)
を高々と掲げて、膝で挟んだあたりから、
紅
(
くれない
)
がしっとり垂れて、白い足くびを
絡
(
まと
)
ったが、どうやら濡しょびれた不気味さに、そうして引上げたものらしい。素足に染まって、その
紅
(
あか
)
いのが映りそうなのに、藤色の緒の重い厚ぼったい
駒下駄
(
こまげた
)
、泥まみれなのを、弱々と内輪に揃えて、
股
(
また
)
を一つ
捩
(
よじ
)
った姿で、
降
(
ふり
)
しきる雨の待合所の片隅に、腰を掛けていたのである。 | | Similar Items: | Find |
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