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1Author:  AnonymousRequires cookie*
 Title:  Matsuhonoura monogatari  
 Published:  2004 
 Subjects:  Japanese Text Initiative 
 Description: 遠からぬ世の事にや侍けん四条わたりに中納言にて右衛門のかみかけたる人なむおはしましける中将殿とて御子ひとりありてさう/\しくおほしけるにあり/\てちこ出き給ひにけるおひさき見えてかたちいとうつくしく物し給ひけれはかきりなくかしつき給ふほとに父の卿はかなくなり給ひぬたつきなきやうにておはしけるに中将の君らうたき物にして十はかりまてそ有けるそのうち横河に禅師の房とて此おちになんおはしける中将に申給ふこのわか君いたつらにおひ出給はむよりは山にのほせて物ならはし給へかしなとより/\すゝめ申されしかは横川へそのほせられける大かたの学文にも和歌の道にも心をいれて筆とる事もたと/\しからすはかなきすさみこともつき/\しく心さま人にすくれたりしかは一山のもてあそひちこ童子もむつましきことにおもひしほとに三年はかり此山に送りけるになむかゝれは此母君久しくみぬはかなしとて折ゝ里へよはせけるにあるとき禅師申されけるはかくもんのかたもさとくかしこき人なり法師になして父の御跡をもとはせ給へかしなと念ころにかたらひ申給へはあたらかたちを墨の袖にやつさんも情なく八重たつ雲にましりなんも心くるしなとの給ひてうちとけたる答へもし給はねはちからなしかくて後はあやうくや思はれけん京にすません事を中将にも申給ふにつれ/\のなくさめにもとや思はれけんおなし心にの給へは禅師もいかゝはせんとてなく/\京へそをくりける此ちこもよ河にすみつき給ひけれはさひしかりし山水にも名残多くあそひ伴ひしちこわらはにもはなるゝことなんかなしかりけるみな京ちかきわたりまて送りきてそ余浪おしみけるさて禅師立帰りてとし月手習なとしてすみ給ひし所を引あけて見給へはいとうつくしき手して障子に書付らる
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